8月13日午後。この日のツーリング中、私は本当の命の危機に見舞われました。少し長くなってしまいましたが。最後まで読んで頂けると幸いです。
紀伊半島ツーリング① は ↓↓
国道42号線
食事を終え、体力を回復したところで出発します。311号線と繋がっている42号線を南下、海沿いを走ります。
道の駅「記宝町うみがめ公園」に立ち寄りました。
こんなに間近でウミガメを見たのは初めてでした。想像よりは小さかったです。甲羅に乗って泳いでもらうのは難しそうですね。
そして三重県を抜けて和歌山県へ入ります。
新宮市内はかなり渋滞していました。この辺りは熊野那智大社などの有名な観光スポットがたくさんあるので、それ目当ての観光客でしょうか。
夏の昼間に大型バイクで渋滞にはまる・・・苦行です。
42号線上で一枚。
荒船海岸
42号線から外れ、今日2番目の目的地が近づいてきました。
荒船海岸。おそらくそんなに有名ではありません。
ツーリングマップルでも特に強調されてはいませんが、この先にまた素晴らしい景勝地があるようです。
岩の素掘りトンネルを抜けて先へ進みます。
そして行き止まり。ここから先は海岸線を歩いて進みます。
時刻は14時10分頃。世間では今年は記録的猛暑と騒がれています。私も正気ではありません。
上の写真のような「く」の字の海岸線を4~5個越えた先がゴールになります。
水筒にはすでにポカリスエット1リットルが補充されています。気合をいれて行きましょう。
写真だとこの熱気までは伝わらないのが残念でなりません。
暑い・・・そして歩きにくい。道なんていう都合のいいものはありません。
容赦なく照り付ける直射日光。岩陰を見つけては休憩を繰り返し、少しずつ先へ進みます。水筒の減りが朝の楯ヶ崎の比ではありません。
途中でそれに気付き、帰りの分を残すために飲む量を抑えます。拭っても拭っても流れてくる汗をまた拭って、一心不乱に歩き続けます。
40分ほど歩いたところ、ギリギリ屈まずに通れるくらいの小さなトンネルがありました。
風がビュービュー吹き込んできて気持ちいい。しかしここはまだゴールではありません。さらに歩き続けます。
そうしてようやく目的地、一の門に到着しました・・・が、私としたことが一ノ問全体が写った写真を撮り忘れてしまいました。暑さでどうかしていたのかもしれません。
仕方ないので看板の写真から。
途中にあったトンネルとは比較にならないほどでかい岩のトンネル。これが自然にできたと言うのだから驚きです。
日陰に入って一の門を見上げ、おぉ、と感嘆の声を上げます。楯ヶ崎も見事でしたが、こちらは間近で見られる分、一際強く感動しました。
・・・と、この時、不意に自分の体に違和感を感じました。
熱中症
いまだに整わない呼吸と止まらない汗。胸に手を当てて、冷静に自分を観察します。
少しだけ、頭がボーっとしていました。体調が悪い、というほどではありませんが、なんだか脳みその奥に熱源があるかのような感覚。
そして顔が熱い。直射日光は背後から浴びて来た上、今はすでに日陰に入っているのに顔全体が妙に火照っています。
・・・やばい。明らかに熱中症の初期症状です。
この時はまだあまり深刻に捉えていませんでしたが、これは本当に命の危機だったと思います。
何より問題なのは今私がいるこの場所です。
炎天下の中50分歩き続けないと到達できない陸の孤島。おそらく半径1km以内に私以外の人間は1人もいません。
もしこのままここで倒れでもしたら・・・
ですが幸いなことに、まだ症状は軽いようです。
ここはしばらくこの場で安静にして、回復を待つべきでしょう。
・・・などと考えつつカメラをセットして10秒ダッシュ!
どうしてもこの写真を撮りたかったのです。
案の条、症状が悪化しました。
ボーっとする感覚は明確な眩暈に変わり、上の写真撮影後、たまらずその場に座り込んでしまいました。
さすがにまずいと思い、水筒の中身をガブ飲みします。残量など気にしている場合ではありません。
そして座っていることすらしんどくなり、そのままそこに倒れこみました。日陰だったことは本当に幸いでした。
直径3~10cmくらいの、水辺特有の丸い石が敷き詰められたような場所、一の門の下で大の字に寝転びます。背中や後頭部が痛いですが、気にしている余裕はありません。
一の門を見上げます。
体が熱い。風が気持ちいい。頭が痛い。空がきれい。背中が痛い。波の音が心地良い。
横になっている間、色々なことを考えました。
まずはこの後のこと。
帰れるのか・・・? 水筒の中身は残り4分の1程度。この場所は涼しいですが、帰る途中の炎天下で倒れでもしたらシャレになりません。こんな時期にこんな場所に来る人なんているはずもなく、助けは来ない。冗談抜きで、本当に死んでしまいます。
ならば夜までここで待つか・・・。後4~5時間もすれば日が落ちて涼しくなるでしょう。しかしそれでも残りの水だけで足りるのか・・・?
いや、そもそもここで安静にしていたとして、本当に動けるようになるのか・・・?
答えは出ないまま、いつの間にか明日の予定やこのブログのことなどをぼんやりと考えていました。
そうして、30分程その場で横になっていました。
眠っていたのかどうかもよく分かりませんが、ふと歩いて来た方向を見てみると、
曇ってる! 今しかない!
奇跡のような幸運。体を起こし、ゆっくりと歩きだします。まだ少し頭痛は残ってましたが、とりあえず動けるくらいには回復したようです。
歩き出してすぐにジャケットの裾から出てきたでかいフナムシに悲鳴を上げつつ、一心不乱に歩き続けます。
直射日光がないだけでこんなにも違うのか。
来る時のあの凶悪な熱気はほとんど無く、むしろ快適だとさえ思いました。
お守りとして持って来た、ポケットの中のイーグル銀貨を握りしめます。
ありがとう。そしてこのまま向こう側に付くまで晴れさせないでくれ・・・。
そして16時20分。ようやくバイクの元に帰って来ました。
もう一度イーグル銀貨に感謝の念を込めつつ走り出し、道の途中にあった自動販売機で水分補給。何とか一命を取り留めることができました。
こうしてブログを書きながら思い返すと、本当にバカだったと思います。夏の海岸の暑さや熱中症の怖さを甘く見ていました。
対策が甘かったことも一因ですが、たとえ万全に対策してもダメなときはダメです。君子危うきに近寄らず。皆さんは絶対に真似しないようお願いします。(言われなくてもしないでしょうが・・・)
橋杭岩と本日の宿
さて、気を取り直してツーリングを再開。16時50分に橋杭岩に到着しました。
これもまた見事なものでしたが、何だか全く印象に残っていません。頭が痛い・・・。
まだ行きたい場所はありましたが、もう諦めて宿に向かうことにしました。
そして紀伊自動車道を走り抜けて18時40分、ようやく宿に到着しました。
今日の宿、「コミックバスター優悦館 田辺支店」。はい、漫画喫茶です。
安くてフリードリンクで、マンガ読み放題、インターネット使い放題という素晴らしい宿泊所です。
チェックイン(?)してすぐにシャワーを浴びてリフレッシュし、食事を注文します。
熱中症には豚肉が良いということで、とんかつ定食。620円です。
うん。まあ、こんなもんでしょう。620円分の味がしました。
さて、せっかくの漫画喫茶ですが、もう疲れていたのですぐに寝ることにします。
私の旅の必需品、アイマスクと耳栓を付け、人気のなさそうな漫画にタオルをのせて枕にして横になります。
今日はなかなか大変な一日でした。
走行距離:334.7km。歩行距離:8~10km。
補給した水分:ポカリスエット2.4リットル。ペットボトルのお茶500ミリリットル。ジュース300ミリリットル。コップの水・茶:5杯。合計:約3.7リットル。
これだけ水分補給したにも関わらず、寝る前のおしっこが真っ黄色だったことに戦慄しつつも、意識はすぐに沈んでいきました。
お休みなさい。
紀伊半島ツーリング③は ↓↓
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